気体の圧力と水銀柱

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 今回は気体の圧力について解説していきます.

圧力

 圧力とは単位面積あたりにはたらく力のことです.圧力の単位は一般的にはパスカルPaが用いられます.この1Paとは1m2の面積に1Nの力が働くことを意味します.

 地球上に存在する空気もこの圧力を及ぼします.地球上で空気が海面上に及ぼす圧力大気圧と呼びます.この大気圧は1.013×105Paであり,これを1気圧と呼び1atmと書くこともあります.天気予報などではよく気圧をヘクトパスカルhPaと言う単位で表します.このヘクトは100を表しており,1atm=1.013×105Pa=1013hPaという関係になります.また,まれにバールbarという単位が用いられることもあります.1barは105Paを表しています.

以下に単位の関係をまとめておきます.

1[Pa] = 1 [N/m2]
1 [hPa] = 100 [Pa]
1 [atm] = 1.013×105 [Pa]
1[bar] = 105 [Pa]

水銀柱

 圧力を表す単位として水銀柱というものがあります.水銀柱ではその名の通り,水銀の柱の高さで圧力を表します.水銀柱の単位はミリメートル水銀柱であり,mmHgと書きます.1Paを水銀柱で表すと760mmHgになります.水銀柱を図にすると下のようになります.

 1Paが760mmHgであるとはどういうことかというと,大気圧のもとで図のように管の中を水銀で満たしたとき,水銀の高さが760mmになるということです.これは大気圧と水銀の柱による圧力が釣り合った状態です.そのため,管を太くしたり細くしたりしても圧力は変らないため,水銀柱は760mmのままです.

 また,管の頂部は真空状態になります.これは初めて真空状態を作った実験であり,この真空部分は発見者の名前からトリチェリーの真空と呼ばれます.しかし,実際にはこの部分は完全な真空状態ではなく,わずかな水銀の蒸気が含まれています.

 水銀は非常に重たい液体です.水の密度の約13倍です.つまり,もしこの水銀中の実験を水で行った場合,水柱の高さは水銀柱の13倍になります.よって,大気圧では760×13=9980mm≈10mとなります.水で同じことをした場合,高さは10mになります.10mとなると流石になかなか実験はできませんね.ちなみに大気圧で水柱が10mになるということは,水をポンプなどをつかっても10m以上持ち上げることはできないということです.

気液平衡

 液体が蒸発する際,沸点においては気液平衡と呼ばれる平衡状態が成り立っています.気液平衡とは液体から気体になる量と気体から液体になる量が等しい状態のことです.

気液平衡:(液体 → 気体)=(気体 → 液体)

このように進む反応と戻る反応の量が釣り合った状態平衡状態と呼びます.気液平衡を図にすると次のようなかたちです.

非平衡

平衡

 気液平衡における蒸気の圧力蒸気圧(飽和蒸気圧)と呼びます.沸点においてはこの蒸気圧と外界の圧力が釣り合っています.この蒸気圧は温度によって変化し,高温になるほど大きくなります.なぜなら,高温になるほど分子はより多くのエネルギーを受け取ります.それによって自由に動き回ることができるようなり,より気体になろうとするからです.

 蒸発と凝縮について水を例に考えてみましょう.大気圧のもとでは水の沸点は100℃です.つまり100℃における蒸気圧が約105Paということです.100℃よりも低い温度では蒸気圧は105Paよりも小さく,100℃よりも高ければ徐気圧は105Paよりも大きくなります.

 まずは100℃よりも低い60℃くらいを考えてみましょう.この状態では蒸気圧が大気圧よりも小さくなっています.つまり,水が気体になろうと押す力よりも空気が押さえつける力の方が大きい状態です.そのためこの状態ではなかなか気体になることはできません.

 では100℃よりも高い150℃くらいだとどうでしょう.この状態では蒸気圧が大気圧よりも大きくなっています.つまり,水が気体になろうと押す力の方が,空気が押さえつける力よりも大きい状態です.そのためこの状態では蒸発が進みます.

 そして,これらの境目が沸点の100℃ということになります.

 ですがよく考えてみてください.雨が降ってぬれた地面もしばらくすれば乾きますよね.でも,地面が100℃以上になったわけではありません.つまり100℃以下でも水は気体になるのです.その理由は蒸気圧にあります.蒸気圧はその温度において気体として存在できる最大量を表しています.もし空気中の水蒸気の圧力が蒸気圧よりも小さければ,気体から液体になろうとする量よりも液体から気体になろうとする量の方が多くなります.そのため,100℃以下でも蒸発するのです.大気の場合は,ちょっとやそっとでは水蒸気による圧力は変化しません.そのため,完全に地面が乾くまで蒸発してしまうのです.

まとめ

 以上,気体の圧力と水銀柱でした.圧力とは単位面積あたりの力のことであり,一般的にはPaという単位が用いられ,他の単位との関係は次のように書けます.

1[Pa] = 1 [N/m2]
1 [hPa] = 100 [Pa]
1 [atm] = 1.013×105 [Pa]
1[bar] = 105 [Pa]

 これ以外に,水銀柱[mmHg]という単位も用いられます.これは1Paのとき水銀の柱が760mmの高さになることをもとにした圧力の単位です.

 沸点においては,気体→液体,液体→気体の変化する量が釣り合っており,この状態を気液平衡と呼びます.この状態における外界の圧力は蒸気圧と呼ばれ,沸騰を説明するのに重要な値になります.

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