分子の形状

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 今回は分子がどの様な形をしているのかを解説していきます.

電子配置

 分子の形を考える上で重要なのが電子の配置です.酸素分子を例に考えてみましょう.酸素分子を電子式で書くと次のようになります.

 酸素分子は酸素原子2つが二重結合で結ばれています.電子は基本的に2つの電子でペアを作ろうとします.そのため,電子対と呼びます.そのうち結合に使われている電子の組共有電子対結合に使われていない電子の組非共有電子対と呼びます.

 酸素分子の場合,共有電子対は2つ,非共有電子対は4つと数えます.

 また,原子の場合などはペアを組んでいない電子が存在しています.このようなペアを組んでいない電子のことは不対電子と呼びます.このような不対電子を持つものとしては例えば窒素原子などがあります.

分子の形状

 ではここから分子の形について考えていきましょう.分子の形を考えるうえで重要なのがここまでに述べてきた電子の配置です.電子は全ての電子対がそれぞれ最も距離を取るような向きに配置されます.電子同士は反発するため,最も離れた配置になる方が安定になります.

二酸化炭素

 まずは二酸化炭素を例に考えてみましょう.二酸化炭素を電子式で書くと次のようになります.

 中央の炭素原子に注目しましょう.炭素原子には2つの二重結合が形成されています.1つの二重結合には4つの電子が存在していますが.この場合は4つの電子がまとまって存在しています.そのため,この2つの電子のグループが最も離れる様な配置を考えます.このときの折れ線の状態よりも直線の状態の方が2つが離れた配置になります.そのため,二酸化炭素では直線型になります.

 次に水分子を考えてみましょう.水分子の電子式は次の通りです.

 中央の酸素原子に注目すると,酸素原子は4つの電子対を持っています.この4つの電子対が最も距離を取るような配置はどうなるでしょうか.結論を言うと,酸素原子を正四面体の中心に配置したとき,4つの電子対が各頂点の向きに伸びた配置になるのが最も距離をとります.言葉だと分かりにくいと思うので,図にすると次のようになります.

 

 このように正四面体の各頂点い向けて電子対が伸びた状態になっています.しかし,実際には共有電子対と非共有電子対では若干,反発力が異なるため正四面体からは少しずれた方向に伸びています.

 このような電子対の反発により水分子は折れ線型になっています.このH-O-Hのなす角は104.5°になっています.

アンモニア

 今度はアンモニアの形を考えてみましょう.アンモニアの電子式は次の通りです.

 中央の窒素原子に注目すると,窒素原子の周りには4つの電子対が存在しています.そのため,水の場合と同様に正四面体の頂点方向に伸びた形をしています.

 よって,アンモニアを構成しているNH3の形状としては四面体型となっています.

ホルムアルデヒド

 最後にホルムアルデヒドを考えてみましょう.ホルムアルデヒドを電子式で書くと次のようになります.

 炭素原子に注目すると電子のグループが3つできています.この3つが最も距離をとるように配置するときはどの様な形になるでしょう.この場合は正三角形の頂点方向に伸びた形になります.

 よって,ホルムアルデヒドは平面三角形型となります.

例題

 例題として他の分子の形も考えてみてください

①メタン(CH4)
②硫化水素(H2S)
③ホスフィン(PH3)

ヒント

①メタン

②硫化水素

③ホスフィン

解答

①メタン ・・・ 正四面体型

②硫化水素 ・・・ 折れ線型

③ホスフィン ・・・ 三角錐型

まとめ

 以上,分子の形状でした.

 分子が持つ電子は,電気的な反発力によって互いに離れた配置をとります.それによって直線型や折れ線型,正四面体型,四面体型などの形を取ります.形を考える際は電子式を書いて電子を可視化した方が分かりやすくなるでしょう.

 今回の内容でご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください.

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