結合と化学式

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 ここでは,分子の化学式,構造式について解説していきます.分子が何の原子からできていて,どのような構造を持っているのかを表すのが化学式や構造式などといったものになります.では始めましょう.

 結合

 分子は複数の原子が結びついてできています.この原子同士の結びつきのことを結合と呼びます.この結合にはいくつかの種類があります.

  • 共有結合 ・・・ 電子を共有してできる結合
  • イオン結合 ・・・ イオン同士での結合
  • 金属結合 ・・・ 金属同士のが結びつくときの結合

 これらは原子同士が結びついて分子を形成するときにできる結合です.

 結びつきがが起こるのは原子だけとは限りません.実際には分子同士も互いに結びつきが起こります.このような分子同士の結びつきに関与する力のことを分子間力と呼びます.分子間力には今回は解説しませんので,別の記事をご覧ください.

 この結合を形成することで分子が作られています.このことを少し念頭に置きながら次の化学式や構造式に進んでいきましょう.

化学式

 分子を記述するときは元素記号を組み合わせて化学式で表します.化学式には付きのような種類があります.

  • 分子式
  • 示性式
  • 組成式
  • 電子式
  • 構造式

 それぞれについて解説する前に,共通して言えることについてまずは説明します.単純な水分子を考えます.水分子は化学式でH2Oと書かれます.水分子は2つの水素原子と1つの酸素原子からできています.水素原子が2つあるという意味で,Hの右下に2と書きます.また,酸素原子は1つですが,1つのときは特に何も書かずOのままです.つまり,元素記号の右下に書く数字は分子中のその原子の数であり,数字が書いていないときは1つという意味になります.

分子式

 ではまず分子式に説明していきます.例として酢酸を考えてみます.酢酸はお酢の主成分です.この酢酸は炭素原子2つ,水素原子4つ,酸素原子2つからできています.ですので,これを分子式で書くとC2H4O2となります.このように1つの分子に含まれている原子とその数を書いたもの分子式と呼びます.分子式では基本的にはC,Hの順で書き,その他の原子はHの次にアルファベット順で書いていきます.

示性式

 続いて示性式です.先ほどの酢酸を示性式で記載するとCH3COOHとなります.分子式と比較すると,原子の数は同じですが書き方が変っています.示性式とは,分子の構造が分かるように記載した書き方です.分子式では使われている原子とその数を単に記載してあるだけであり,どのような構造の物質なのかは分かりません.示性式では構造が分かるように記載します.具体的な構造はこの後の構造式を確認してください.

示性式

 次に示性式です.酢酸を示性式で書くとCH2Oになります.先ほどとは原子の数が変ってしまいました.この示性式分子に含まれている原子の比を表した書き方です.分子式をもう一度書くとC2H4O2でした.このときのC,H,Oの比は2 : 4 : 2でした.この比を簡単にすると1 : 2 : 1になります.ですので,この簡単にした比で表したのが示性式です.

電子式

 今度は電子式です.酢酸を電子式で書くと次のようになります.

 電子式は分子の構図の通りに各原子を並べ,各原子の回りに全ての最外殻電子書きます.このとき電子は「・」で表します.ここで,原子は最外殻電子が8つ(水素の場合は2つ)の状態が安定になります.ですので,分子の構造は各原子の最外殻電子が8つもしくは2つになるように電子を共有します.

 酢酸の電子式を見ると,水素原子の回りには合計2つ,炭素原子,酸素原子の回りには合計8つの電子が書いてあると思います.ですが,実際の各原子の最外殻電子数は水素が1つ炭素が4つ,酸素が6つです.これでは安定な電子数には足りません.ですので隣り合う原子と電子を共有して安定な数になるようにします.これが共有結合です.水素原子の場合は1つしか電子を持たないため,となりの原子に電子の電子1つをと自身の電子1つを共有することで合計2つの電子をもって安定な状態になります.他の原子についても同様です.共有する電子はお互いに1つずつとは限りません.実際酢酸ではCとOの結合の1つで2つずつ電子を出し合って4つの電子を共有している部分もあります.

 このように,全ての最外殻電子を記載して分子の並び方も含めて書く書き方電子式と呼びます.

構造式

 最後に構造式です.構造式は共有結合の物質を記載するときに使われます.酢酸を構造式で書くと次のようになります.

 構造式は図のように結合した原子同士を価標と呼ばれる線で結んで構造が分かるように書かれたものです.この価標1つは隣り合う原子同士で共有している電子2つを表しています.電子式で原子間に「 : 」と書いてある部分を「-」に置き換えたものです.そのため「=」は電子共有された4つの電子を表しています.

 ここで,価標1本で結ばれて2つの電子を共有した結合単結合価標2本で結ばれて4つの電子を共有した結合二重結合価標3本で結ばれて6つの電子を共有した結合三重結合などと呼びます.

 結合を表す価標はよく手と呼ばれます.構造式で書いた場合,基本的に原子によってその原子がもつ手の数は決まっており,水素の場合は1つ,酸素の場合は2つ,炭素の場合は4つの手を持っています.原子が持っている手の数は同族元素では同じです.よく出てくる原子の手の数をまとめて起きます.

水素(H)1つフッ素(F)1つ
塩素(Cl)1つ酸素(O)2つ
硫黄(S)2つ窒素(N)3つ

 構造式は一部省略して書かれることがあります.特にC-Hの結合O-Hは頻繁に出てくるた省略されることが多く,省略すると下のようになります.

 さらに,共有結合を持つ分子は無数に存在し,1つの分子中にも数多くの炭素を持つものもあるため,炭素原子すらも省略されることがあります.このような炭素原子を省略して書いた構造式骨格構造式と呼ばれ,次のように書きます.

 上の構造では何も書かれずに折れ曲がっている点や,端に何も書いてない部分に省略されていますが炭素が存在することを意味しています.また,この省略された炭素のうち,不足している手には全て水素が結合していると考えます.ですので,端の炭素では手が1つしか書かれていないため残りの3つの手には水素が結合し,中央の炭素では2つの手が使われているので残りの2つの手に水素が結合していると考えます.

まとめ

  以上,結合と化学式でした.
  原子は共有結合やイオン結合,金属結合を形成して分子を作っています.また,分子間では分子間力と呼ばれる力が働き相互作用を及ぼしています.

 分子は化学式で記載され,分子式,示性式,組成式,電子式,構造式などで表記されます.

 今回の記事でご不明点等がございましたらお気軽にお問い合わせください.

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