電荷とイオン

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 今回は電荷とイオンについて解説していきます.世の中に存在している物質にはイオンの状態で存在しているものも多く,化学の理解にはイオンの理解が必須です.ですので,イオンについて理解していきましょう.

電荷

 イオンを考える前にまず,電荷とは何か考えましょう.電荷とは物質が帯びている電気のことです.この電荷には正と負の2つがあります.物質がもつ電荷は陽子と電子の数に起因しており,正の電荷は陽子,負の電荷は電子により生じています.陽子と電子が帯びた電気は正と負で符号が異なりますが,絶対値は等しいです.

 電荷の単位はC(クーロン)で表されます.物質の電荷の大きさは陽子と電子で決まるため,陽子や電子が持つ電荷の大きさ電気素量と呼びます.電気素量はよくeと書かれ,e=1.6×10-19Cです.ゆえに,陽子がもつ電荷は+1.6×10-19C,電子がもつ電荷は-1.6×10-19Cです.

 イオン

 では次にイオンに進みましょう.イオンは電荷を帯びた粒子のことです.つまり,プラスやマイナスの電気を持った粒子のことです.このうち,プラスの電荷を持った粒子陽イオンマイナスの電荷を持った粒子陰イオンと呼びます.ここからもう少し詳しく説明していきます.

 原子は原子核と電子から構成されています.電子は原子核の周りの広い範囲を飛び回っています.そのため,電子が飛び去ってしまい本来の数よりも少なくなったり,逆に外から入り込んできて本来よりも多くなったりします.一方で,陽子は原子核として中央でしっかりと固定されています.そのため,陽子の数が変化することはありません.よって,電子の数によって粒子が持つ電荷の量が決まります

1価の陽イオン(リチウム)

 まずは陽イオンを考えてみましょう.例としてリチウム原子を考えます.リチウム原子は電子を1つ失いやすい性質があります.図にすると次の様な形です.

 陽子が+1,電子が-1の電気を持つと考えると,元々はリチウム原子全体で0の電気を持っています.しかし,電子を1つ失いイオンになると全体で+1の電気を持つことになります.ですので生じたリチウムイオンは1価の陽イオンと呼び,Li+と書きます.ここで,価とは受け取ったり,失ったりした電子の数のことで価数と呼ばれます.

2価の陽イオン(ベリリウム)

 別の例としてベリリウムを考えます.ベリリウムは2つの電子を失いやすい性質があります.図にすると次の様なかたちです.

 今度は,ベリリウム原子が全体で合計0の電気を持っていたところ,2つの電子を失ったことで+2になりました.そのため,ベリリウムイオンは2価の陽イオンと呼び,Be2+と書きます.

1価の陽イオン(フッ素)

 次に陰イオンを考えます.陰イオンの場合は先ほどの真逆です.例としてフッ素を考えます.フッ素原子は電子を1つ受け取りやすい性質があります.図にすると次の様になります.

 フッ素原子が全体で合計0の電気を持っていたところ,1つの電子を得たことで-1になりました.そのため,フッ素イオンは1価の陰イオンと呼び,Fと書きます.

2価の陰イオン(酸素)

 最後に酸素を考えましょう.今度の酸素は2つの電子を受け取りやすいです.ですので図にすると次の様になります.

 酸素の場合はもともと合計で0の電気を持っていたところ,2つの電子を得たことで-2になりました.そのため,酸素イオンは2価の陰イオンと呼び,O2-と書きます.

 このほかにもさまざまなイオンが存在し,価数も1価や2価のみではなく,3価や4価などさまざま存在します.

価数の規則性

 先ほど,リチウムは電子を1つ失いやすい,酸素は2つの電子を受け取りやすいなどと説明しました.では,このような授受される電子の数はどのように決まっているのでしょうか.

 これを説明するにはオクテット則が重要になります.原子は最外殻の電子数が8つ,1周期の場合は2つの状態が安定になります.ですので,最外殻電子が8つ(場合によっては2つ)になろうとします.つまり,貴ガスと同じ電子の数になろうとするのです.ですので,リチウムやベリリウムはK殻に電子が2つ詰まった状態に,酸素やフッ素はL殻に電子が8つ詰まった状態に変化し,イオンになるのです.

 周期表で1族のアルカリ金属は全て価電子数数が1つです.ですので,いずれも1つ電子を失って1価の陽イオンになろうとします.また,2族はアルカリ土類金属は2つの電子を失って2価の陽イオンになろうとします.一方で17族のハロゲンは1つの電子を受け取って1価の陰イオンに,16族は2つの電子を受け取って2価の陽イオンになろうとします.

 このように,周期表を見ればおおよそどのようなイオンになるかを予想できます.しかし,遷移金属だけは少し複雑です.遷移金属には複数の価数をとるものもあります.例えば鉄は2価と3価,銅は1価と2価が存在します.この理由は少し難しいのでここでは説明しませんが,軌道の考え方が関わってきます.

まとめ

 以上,電荷とイオンでした.粒子は電子を受け取って陽イオンになったり,電子を失って陰イオンになったりします.それは,電子や陽子が電荷と呼ばれる電気を帯びているからです.

 ここでの内容は,今後反応を学ぶ上で非常に重要になります.ご不明点などがございましたらお気軽にお問い合わせください.

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