分子と質量数とは

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 1つ前の記事で原子,周期表を扱いました.今回はその続編として分子そして,質量数や物質量といった用語について解説していきます.

分子

 では,さっそく分子から初めて行きます.前回は原子とは物質を構成する最小単位であると説明しました.今回出てきた分子とはいくつかの原子から構成された物質であり,安定に存在できる最小の構造単位です.これだけだとよく分からないと思うのでもう少し詳しく説明していきます.

 水素を例に考えてみましょう.水素は空気中などに気体で存在しています.これらはすべて原子ではなく,2つの水素原子が結びついて分子の状態で存在しています.図にすると下のような感じです.

 水素は原子の状態だと非常に不安定であり,水素の原子として存在することはできません.なので他の水素と結合して,水素分子を作って存在しています.

 このほかにも空気中の気体で言うと窒素は2つの窒素原子が結合した窒素分子として,二酸化炭素は2つの酸素と1つの炭素が結合した状態で存在しています.このように,多くの物質はいくつかの原子が結びついた分子の状態で存在しています.

 ここで,分子の模式図をいろいろ紹介します.

窒素

二酸化炭素

 先ほど”多くの”物質は分子の状態で存在していると説明しました.つまり,逆に言えば一部の物質は分子の状態にはなっていません.例えば鉄や銀などといった金属です.鉄の場合は無数の鉄原子が結びついて1つの鉄の塊になっています.ですので,いくつの鉄が結びついてできているかが説明できません.他の金属についても同様です.こういった物質については分子とは呼びません.明確にいくつの原子が結びついてできているかが説明できるもののみを分子と呼ぶのです.

質量数

 次に質量数について解説します.質量数とは原子の重さのことです.原子は陽子,中性子,電子から構成されています.このうち,電子は陽子,中性子の重さと比較して非常に小さい値です.また,陽子と中性子はほぼ同じ重さです.そのため,陽子と中性子の数の合計を重さとして考えて,これを質量数と呼びます.例えば水素原子とヘリウム原子で考えてみましょう.水素原子とヘリウム原子の構造は次の通りでした.

水素

ヘリウム

 水素原子は陽子を1つだけ持っているので,質量数は1になります.また,ヘリウム原子は陽子2つと中性子2つを持っているので質量数は4になります.このことから,ヘリウム原子の重さは水素原子のおよそ4倍だと分かります.

 このことから,質量数は物質の重さを考える上で非常に重要な数字だと分かります.

物質量 mol

 原子や分子は非常にサイズが小さく,数え切れないほどの数が存在しています.そこで原子や分子の数を数えるために物質量mol(モル)という単位が使われています.原子の重さを考えるときには原子量という値を使います.ここで,炭素原子を考えます.炭素原子は陽子6個,中性子6個を持っています.すなわち質量数は12です.この質量数12の炭素が12gあったとき,炭素が1molあると考えます.そして,この炭素の重さを12としてこれと比較したときの相対的な原子の重さ原子量と呼びます.

 周期表を確認してみましょう.

 各原子の欄の一番下に書いてある数字が原子量です.先ほど炭素を12とすると書きましたが,周期表では原子量が12.0106と書いてあります.なぜ12より少し大きな値になっているのでしょうか.ここで重要になるのが同位体の存在です.

 原子について思い出していただきたいのですが,原子の名前は陽子の数で区別されていました.水素であれば陽子1つ,ヘリウムであれば陽子2つです.ですが,各原子の中性子の数は必ずしも決まっている訳ではありません.例えば水素の場合,中性子が0個,1個,2個のものなどが存在しています.ゆえに質量数が1,2,3の3種類の水素が存在しています.このように同じ原子で中性子の数が異なるものを同位体と呼びます.

 水素の同位体についてもう少し話をすると,中性子の数が0個,1個,2個の水素はそれぞれ,軽水素,重水素(ジュウテリウム),三重水素(トリチウム)と呼ばれます.この存在比は,99%が軽水素であり,1%未満が重水素です.三重水素はほとんど存在しません.ただ,トリチウムは少し前に原発の処理水のニュースで話題になりましたね.三重水素は不安定であり,放射線を発して別の物質に変化します.このために,ニュースに取り上げられました.このように,同位体には放射線を放出して別の物質に変化するものがあります.これらは放射性同位体と呼ばれています.

 話題がそれてしまいましたが,もう一度炭素の話に戻りましょう.炭素には主に中性子が6個と7個の同位体が存在しています.そのために原子量が12よりも少し大きな数字になっているのです.

 原子量と似た意味で分子量という言葉があります.これは分子の重さを考えるときに使うものです.例えば水分子の場合,水素原子2つと酸素原子1つで構成されています.ゆえに水分子の分子量は構成している原子の原子量の総和である18になります.

 さらに,モル質量というものがあります.モル質量とは1molあたりの質量であり,普通は単位はg/molと書かれます.先ほどまで述べていた原子量や分子量には単位はありません.ただ,この原子量や分子量にg/molという単位をつけるとモル質量になり,数字としては原子量,分子量とモル質量は同じになります.

まとめ

 以上,分子,質量数,物質量,原子量,分子量,モル質量でした.次回もこの記事で解説しきれなかった内容を解説していきます.引き続きお読みいただけたら幸いです.

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