【高分子化学】カロザースの式の導出をゼロから分かりやすく解説!

高分子化学

前回の記事では、逐次重合のメカニズムと、反応率と重合度の関係を示す「カロザースの式」について解説しました。

$$\overline{X_n} = \frac{1}{1 – p}$$

前回に記事については以下のリンクからご確認ください。

このシンプルで美しい数式について、「なぜこの式になるのか?」を根本から理解している人は意外と少ないかもしれません。

実はこの式、難しい微分積分などは一切使わず、「分子の数を数えるだけ」でとても簡単に導き出すことができます。

今回は、カロザースの式の導出方法を、4つのステップでゼロから分かりやすく解説します!

準備:登場する3つの記号を確認しよう

導出を始める前に、まずは使う記号を定義しておきましょう。ここをしっかりイメージできるかが最大のポイントです。

  • $N_0$ : 最初のモノマーの総数(反応スタート時のバラバラな分子の数)
  • $N$ : 反応途中(ある時間)の分子の総数(繋がってできた高分子や、未反応のモノマーなどをすべてひっくるめた数)
  • $p$ : 反応率(0〜1の値。官能基がどれくらい反応したかの割合)

※今回は最もシンプルな例として、1つの分子に「反応できる手(官能基)」が2つあるモノマー(A-B型モノマーなど)を想定して考えます。

ステップ1:反応によって減った「分子の数」を考える

逐次重合では、分子と分子がくっついて1つの鎖になるたびに、全体の分子の数は1つずつ減っていきます。

最初は $N_0$ 個あった分子が、反応が進んで $N$ 個になったとします。

このとき、「新しく作られた結合の数」は、減った分子の数と等しくなります。

  • 作られた結合の数 = $N_0 – N$

ステップ2:「反応率 p」を数式で表す

反応率 $p$ とは、「最初にあった官能基(手)のうち、どれくらいが実際に手を繋いだか」という割合のことです。

モノマー1個につき官能基は2つあるので、最初の官能基の総数は $2N_0$ 個です。

また、1つの結合ができると、2つの官能基が消費されます。ステップ1より、作られた結合の数は $(N_0 – N)$ 個なので、消費された官能基の数は $2(N_0 – N)$ 個となります。

したがって、反応率 $p$ は次のように表せます。

$$p = \frac{消費された官能基の数}{最初の官能基の総数} = \frac{2(N_0 – N)}{2N_0} = \frac{N_0 – N}{N_0}$$

分母と分子の2が約分されて、とてもシンプルな形になりましたね!

(※直感的に「反応した分子の割合」と考えて、$p = \frac{N_0 – N}{N_0}$ といきなり定義しても間違いではありません。)

ステップ3:反応後の分子数 N を p を使って表す

ステップ2で作った式を変形して、「現在の分子数 $N$」がどうなるかを求めます。

$$p = \frac{N_0 – N}{N_0}$$

$$p = 1 – \frac{N}{N_0}$$

$$\frac{N}{N_0} = 1 – p$$

$$N = N_0(1 – p)$$

この式は、「反応率 $p$ が大きくなるほど、残っている分子の数 $N$ は減っていく」という当たり前の事実を数式で表したものです。

ステップ4:数平均重合度の定義に代入する(完成!)

最後に、求めたい「数平均重合度 $\overline{X_n}$」を計算します。

数平均重合度とは、「現在ある分子1個あたり、平均して何個のモノマーが繋がっているか」を示す値です。

全体のモノマーの数は最初から最後まで $N_0$ 個で変わりません。それを現在の分子の数 $N$ で割れば、平均重合度が出ます。

$$\overline{X_n} = \frac{最初のモノマーの総数}{現在の分子の総数} = \frac{N_0}{N}$$

ここに、ステップ3で求めた $N = N_0(1 – p)$ を代入します。

$$\overline{X_n} = \frac{N_0}{N_0(1 – p)}$$

分母と分子の $N_0$ が約分されて消えます。

$$\overline{X_n} = \frac{1}{1 – p}$$

これでカロザースの式の導出は完了です!

まとめ

導出の大きな流れをおさらいしましょう。

  1. 反応率 $p$ を、最初の分子数 $N_0$ と現在の分子数 $N$ で表す。($p = \frac{N_0 – N}{N_0}$)
  2. 式を変形して $N$ について解く。($N = N_0(1 – p)$)
  3. 重合度の定義式 ($\overline{X_n} = \frac{N_0}{N}$) に代入する。

この3ステップを頭に入れておけば、その場で導き出すことができます。

「結合が1つできると、分子が1つ減る」という逐次重合のイメージを大切にしながら、ぜひご自身の手で一度計算してみてくださいね!

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